【第5回】山菜 #01

例年稀に見る暖冬で、すでに春を迎えている今日この頃…PICKUPのコーナーでは「春の山菜」をご紹介していきたいと思います。ただ山菜といってもかなり多くの山菜が存在しています。一度に紹介してしまうにはもったいないくらいですので回を分けて紹介していきたいと思います(決してネタ切れ防止策ではありません…)。第5回に紹介する山菜は…皆様ご存知の山菜の王様「たらの芽」や「こごみ」「ふきのとう」を中心にその他一般的な蕗や独活などなど…。山菜の御三家とも呼べる「たらの芽、こごみ、ふきのとう」他多数のうんちくからおいしく食べられるレシピまで余すことなく紹介していきたいと思います。

うんちく

たらの芽


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ウコギ科、タラノキ属のタラノキ[楤木]の芽を「たらの芽」と呼びます。自生のタラノキは沖縄から北海道まで全国各地の山地に生えている落葉低木です。たらの芽はそのタラノキの枝の先に付く若芽です。古くは奈良時代より高級野菜として重宝されてきました。近年では山菜の王様と呼ばれ、需要はより一層高まってきています。現在流通しているたらの芽のほとんどが栽培物で、12月~5月頃まで出荷されています。切断した根を植える「根挿し法」という栽培方法が開発され、増殖が可能となりました。さらに出荷期をより長くするための萌芽の調節法も開発が進み、全国的に栽培が盛んになってきました。栽培物の産地として、山形、青森、高知、徳島、新潟、岐阜、福島、群馬などが中心となっています。

天然物は直接山地に踏み込んで採らないといけません。天然物も市場流通していますが、栽培物が豊富になってきている中、苦労して天然物取りに行くという現地の人も減っているそうです。天然物には鋭い刺がありますが、栽培物には刺のない品種も開発されています。山菜狩りに出かけられる方々は厚手の手袋は必需品ですね。それと山菜狩りのマナーをひとつ…たらの芽は一度採るとその後にまた新しい芽が出てきます。しかし同じ年に出てきた2度目の芽を採ってしまうとその枝が枯れてしまうといわれています。ですから、山菜狩りに出かけてたらの芽を採ることがあったら、枝に「今年の芽は採りました」と分かるように枝にリボンを付けるなどマークしておきましょう。

余談ですがタラノキの茎や根の皮は糖尿病に効果があるとされていて、古くから煎じて使われていたようです。

こごみ


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オシダ科、クサソテツ属のクサソテツ[草蘇鉄]の春に出る葉先の巻いた若芽を「こごみ」又は「こごめ」と呼びます。自生のこごみは九州より北の山地や平野で採取されます。出荷時期はたらの芽よりも長く、11月から6月を越えるまであります。融雪の遅い東北地方などでは7月頃まで出荷されているところもあるようです。若芽の成長が早く収穫するタイミングが重要とされ、山菜狩りに出かけて採ろうと思うとなかなか食べごろのこごみを見つけるのは難しいですね。もちろん流通しているのは栽培物で、ハウス栽培、又はビニルで覆うなどして早い出荷を促すような栽培方法が用いられています。根株を残すことにより、1週間ほどで次の芽が発芽しますが、胞子の状態から発芽させようと思うと2~3年かかります。根株を冷蔵しておいて必要なだけハウスに移して発芽させて出荷というのが主な栽培方法とされています。主な産地は秋田、北海道、新潟、山形、岐阜、長野です。

灰汁がなく、シダ類の中でもっとも美味とされています。

ふきのとう


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キク科、フキ属のフキ[蕗]の花序をフキノトウと呼びます。山菜の中で一番早く芽を出します。出荷時期は11月~4月頃までで、主な産地は福島、群馬、新潟、徳島、富山、愛知です。ふきのとうは切り口や葉の部分に黒く擦れたようなところが見られますが、それは傷んでいるわけではありません。ポリフェノール群が豊富に含まれているために変色するとされています。独特の香りと苦味があり、好き嫌いが分かれますが、その香りを生かした「ふき味噌」など昔から伝えられてきた調理法などが多くあります。後ほどレシピの方で紹介したいと思います。

(ふき)


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キク科、フキ属の山野に自生する野菜です。日本原産の野菜の一つで、北海道から沖縄、さらには中国にまで分布しています。現在一般的に消費されているフキは「愛知早生ぶき」と言われる品種の栽培物で、成長も早く、長さは1mに達します。もちろん山野に自生している天然のフキも利用されます。栽培用に品種改良されたものと違い、灰汁が強いため食すときには灰汁抜きが必要です。ただフキといってもいろいろな種類があります。「水ふき」と呼ばれる淡緑色の葉を持つもので、香りも品質も従来のフキと比べて良いのが特徴ですが、収穫量が少なく貴重なフキとされています。東北地方から北海道にかけて分布している「秋田ぶき」という品種は、葉の長さが2mに達するものまであります。肉質は硬いため佃煮など煮込んで調理されることが多いようです。「愛知早生」というだけあり、我が愛知県でのフキの出荷量は多く、この時期は竹の子などと一緒に食卓に並ぶ季節商材です。

独活 (うど) / 山独活 (やまうど)


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ウコギ科、タラノキ属の日本原産の野菜です。現在多く出荷されている産地は東京、埼玉、栃木など関東が中心ですが、他にも愛知、秋田、青森など様々な産地があります。一般的に独活と呼ばれるのは左の写真のように丈の長いものです。「ウドの大木」と言いますが、独活は大きくなるほど硬くなり食用にも向かず、燃料ばどにも使えないと実際役立たずになってしまいます。現在では軟化栽培による軟化うどが実際に流通しているほとんどの独活となります。他には根株に土寄せして緑化させた「山独活」や、春に山野で芽を出したばかりの「独活芽」などが出荷されています。淡白な甘みと独特の歯ざわりがあり、最近ではサラダにも使われます。先端の葉の部分は天婦羅にするとおいしくいただけます。

他にも数多くの山菜たちが存在していますが、それはまた次回のPICKUPにて紹介していきたいと思います。