今月のPICKUPは「ハーブ」を取り上げたいと思います。ハーブといっても様々…今回はカネク青果で「3大ハーブ」と勝手に名づけている「チャービル」「イタリアンパセリ」「ミント」をご紹介! フレンチからイタリアンを中心に様々な料理でお目にかかるハーブですが、その栄養価などは意外と知られていないところが多いはず…
せり科の一年草です。英名は“チャービル”、フランスでは“セルフィーユ”と呼ばれています。
ロシア南部から西アジア一帯が原産。古代ローマで、すでに食用や薬用として利用され、調味料およびしゃっくりの治療薬として用いたとの記録が残されています。また、ヨーロッパでは、種子に過去と未来を描き出す作用があると信じられており、魔女の常備薬だといわれていたそうです。
外見と香りは、パセリに似ていますが、風味はさわやかでやや甘く、舌触りはやわらか。フランスでは、“美食家のパセリ”と呼ばれ、フランス料理の調味料「フィーヌセルブ」に必須。 (パセリ大2・シーブレット大2・タラゴン大1・チャービル大1 をみじん切りにして混ぜる)
少量で他のハーブの風味を強められるのが大きな特徴。半日陰に生育した葉が一番香りが良く、生のまま薬味に用いたり、料理の仕上げに散らしたりします。
グリーンサラダやビネガーなど、様々な料理の味を強めるほか、シチューの浮き身に利用。また、魚との相性がよいので、ソースの風味付けにも利用されます。葉のお茶は、毒素を排出し、全身の浄化を助けるとされています。美容パックに混ぜると、肌がきれいになり、柔軟性が保たれるとも言われています。
カリウムやカルシウム、鉄などのミネラルが豊富で、高血圧や不整脈、貧血、手足のしびれの改善、免疫機能を高め、疲労回復や冷え性改善などの効果が期待できます。
野菜に付く害虫を防ぐ効果があり、レタスなどの野菜にそばに植えると、アブラムシなどの発生を防ぐ、“コンパニオンプランツ”としても役に立っています。
しそ科の植物で、和名では“オランダせり”と呼ばれています。
古代ギリシャでは当時、パセリは主に医薬用に用いられていたほか、ホメロスの詩によれば、軍馬に与えるえさでもありました。また、お墓の飾りや勝利者の栄誉をたたえる冠にも使われていたそうです。
これを食卓に載せるようになったのは、ローマ帝国の時代。宴会の際には、このハーブのガーランドを飾っていたとか…。パセリの首飾りで、ワインの酔いを防いでいた、ということも言われています。
“マルチキッチンハーブ”と呼ばれているほど、様々な効能があり、イタリアンパセリに含まれる、ピネンと、アピオールという精油成分は、胃腸を整える働きがあります。ビタミンAとビタミンCも豊富に含んでいるため、(特にビタミンCは、レモンの2.2倍、オレンジ4個分になるとされる)美肌作用があるといわれ、肌を丈夫にしたり、きれいにするとも…。乾燥肌やそばかすが気になる方は、フェイシャルスチームが効果的で、抽出液は、ヘアトニック、ヘアリンスに使われることもあるようです。この抽出液は捻挫やけが、虫さされの消毒にも使えます。さらに、防腐作用のあるクロロフィルも豊富に含んでいるため、口臭予防にも役立つそうです。そのため、生のまま噛むと、息がさわやかになるとか。 パセリの小枝を水に浮かべておき、ウエイターが接客前に口にほうり込むようにしてある レストランもあるそうです。
しかし、現代のヨーロッパで、妊娠中の女性は、このイタリアンパセリに、細心の注意を払うとか…。パセリは、毒素を流すという効果があるらしく、胎内に宿る命を消してしまうといわれています。 ロシアでは、「流産させるために食べる」とまで言われるくらいの食材だそうです。少量は問題ありませんが、多量摂取については、控えておいたほうがよさそうです。
非常に栽培しやすく、初めてハーブを育てるなら、まずイタリアンパセリを…と、欧米のレシピ本でも紹介されるほど。また、バラのコンパニオンプランツとして、そばに植えるとバラの香りを良くし、丈夫にするといわれています。
春に種をまき、花を咲かせないようにこまめに収穫して、早めに摘み取るようにすると長く収穫できます。(黄色い花も可憐できれいではありますが、花を咲かせると根が消耗し、葉が小さくなり硬くなってしまいます。)
台所の窓辺で育ててみてはいかがでしょうか?
乾燥させると、香りと美しいグリーンが失われますので、細かく刻むかそのまま冷凍保存が有効です。たくさん収穫して、ストックをしておくと便利かも♪
生のままサラダに…刻んでサンドイッチ、卵料理、スープ魚料理、スープの浮き実に、マヨネーズやドレッシングにも。オムレツ、ハーブバター、ハーブオイル、チーズにも利用できます。このようにイタリアンパセリを料理の彩り以外で利用してみてはいかがでしょうか?
ヨーロッパ原産でしそ科の多年草です。
ミントはその昔、メンタというニンフでした。メンタは、冥界の王プルートに愛されていましたが、プルートの妻で、嫉妬深いペルセポネに地面の上で荒々しく踏みにじられてしまいました。そこで、プルートはメンタをかわいらしいハーブに変えてやりました。彼がそこに行くと、元気になれたそうです。
プリニウスは、ギリシャ人とローマ人は、宴席において、ペパーミントで頭上を飾り、また、ソースとワインの香り付けに使用したと述べています。古代ギリシャの医師たちは、ミント類をよく使っていたようで、エジプト人は栽培していた、という記録もあります。北アメリカのネイティブアメリカン・メノミニー族は、ミントの葉を使って肺炎を治していたそうです。 また、貧血の治療にも用いられています。
ミントには、約30種があります。
ミントの代表格で、清涼感の中にも甘さを含んだ香りがあります。お菓子や料理の香り付けなど、利用範囲が多いミントです。
シャープな香りで、ミントの代表格。メンソールを多く含んでいて、お菓子、料理、デザート、飲料、化粧品、歯磨きなどあらゆるものに味と香りが使われています。
葉が丸いのが特徴で、明るい緑色で、りんごの甘い香りがします。ハーブティー、サラダ、ポプリなどに利用されています。
葉が大きく、濃い緑色で、茎が紫がかっています。オレンジに似た香りがあり、ハーブティー、ハーバルバスに利用されています。
葉に光沢があり、オレンジの強い香りがします。ハーブティーに利用されています。
葉がちじれているのが特徴です。
ガムなどで有名なミントで、葉のふちがぎざぎざになっています。清涼感のある香りを一年中楽しめます。
葉に白い縁取りがあり、パイナップルの香りがします。ハーブティーに、ガーデンの彩りとして利用されています。
葉と葉脈が紫で、つやがあります。ハーバルバスに利用されています。
地面を這うように伸びるミントで、庭に植えると香りの緑のじゅうたんを作ってくれます。雑草防止にも役立ってくれます。強い香りは防虫効果があるといわれています。
ミントティーは、ベトナム料理などアジア料理全般には欠かせません。また、飲酒が禁止されているアラブ諸国では、ミントティーを好んで飲む人が非常に多い国です。さらに、イスラム諸国では、紅茶、コーヒーを飲む代わりに、ほぼ皆がミントティーを飲んでいるということです。すっきりとした風味で、消化を助ける作用があるので、食後に飲むと効果的。また、強壮作用、発刊作用、鎮痛作用もあります。モーニングティーとしてもお勧めです。アルカリ度が高いので、胃酸の多い方、お酒好き、腸の悪い方には特にお勧めです。ただし、小さい子供には刺激が強い場合があるので、気をつけてください。また、ペニーロイヤルミントは、妊娠中の飲用は避けましょう。
水を入れたコップにさしておくだけで、一週間ほどしたら発根します。 発根したら土に植え替えるだけ…と、栽培方法も簡単。
ミントは枝先の新芽をデザートなどの飾りとして使うことが多いですが、枝が細くなり、弱くなるので、病気などにもかかりやすくなります。草姿も乱れるだけでなります。収穫するときは、根元5センチくらいのところから刈り取るようにすると、元気な枝が再生します。
生の葉を枝本から刈りとったものを(生の葉がない場合には、乾燥葉を袋に入れて)、お風呂に浮かべ、ハーバルバスに…リラックスできすべすべのお肌に。モーニングバスならば、すっきりと目覚められることでしょう。ただし、お肌の弱い方には、刺激が強すぎる場合があるので、ミルクとともに入れるか、使用量を十分にお気をつけください。
ペパーミントの浸出液(濃いハーブティー)は、のどの調子が悪いときや、風邪予防にうがい薬に最適。成分のメントールには殺菌・抗ウイルス作用があるといわれています。風邪の引き始めや、消化不良にもオススメ。