【第8回】ハーブ #02

今回のPICKUPは前回に引き続き「ハーブ」です。今回は「タイム」「ディル」「ローズマリー」をご紹介していきたいと思います。前回の「チャービル」「ミント」「イタリアンパセリ」に続いてよく使われるハーブたちです。イタリア料理などにはかかせないこの3種類のハーブたちですが、一般の家庭ではなかなか使いづらいのではないでしょうか? 前回のハーブと一緒に今回のハーブたちのレシピも掲載していますのぜひ参考にされてみてはどうでしょうか?

うんちく

タイム


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シソ科の植物で、学名をThymus vulgarisといい、和名ではタチジャコウとよばれています。原産地は地中海西部とヨーロッパ南部です。タイムは草花ではなく常緑小低木です。

消炎・殺菌・防腐作用などがあり、風邪などの症状にも効果があるともされています。また、消化器官改善や健胃・整腸作用もあるとされています。他にもハーブティーにして飲むと喉の痛みや咳、さらには口臭防止にもなるそうです。ハーブというのはある意味漢方に近いものがあるのかもしれませんね。

タイムの歴史を見てみますと、中世の騎士が遠征に出かけるときに着用するスカーフに、蜜蜂と一緒にタイムの刺繍がされていたというお話もあります。学名のThymusの語源Thumus(心)から、勇気等の象徴として考えられていたのではないかとされています。

またタイムは様々な料理に使用されています。ブーケガルニ(香草の束)の材料として、魚、肉の臭み消しや風味付けに使われたり、ビネガーやオイル、さらにバターやチーズ、ドレッシングなどにも使用されています。

ディール


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ディールの歴史は古く、6,000年以上前からメソポタミアで利用されてきました。ディールの効能は、古代ギリシャや、古代ローマでも珍重されてきました。“ディル”という名前は古代ノルウェー語の「なだめる・穏やかにする」という意味の「dilla」からきています。ローマ人が北ヨーロッパにもたらした後、数世紀もの間顧みられる事はありませんでした。それが中世になって見直され、北欧で広く使われるようになり、ノルウェー語の名前で世界中に広まっていきました。また、古代インド・ヨーロッパ語の“花咲く”という意味に由来する、という説もある。

ヨーロッパでは、今でも夜泣きの赤ちゃんにディールの種を煎じた飲み物を飲ませたり、病院では患者が安眠できるように、ディールの入った飲み物を処方するところもあるほどです。乾燥させた葉や、種を枕に入れると安眠が得られる…ともいわれているようです。他にも、鎮静効果、食欲促進、消化増進、ガスによるお腹の張りを無くす…と言った効能があるといわれてもいます。古くからの民間療法では、しゃっくり止め、母乳の出を良くする…等、といったところでも使用されていました。

“禍害なるかな、偽善なる学者、パリサイ人よ、汝らはミント、ディル、クミンで10分の1税として納めて、律法の中にても重き公平とあわれみ忠信とを等閑にす”(マタイ伝第23章23) 聖書のこの記述からも、当時ハーブが税金の代用として重んじられていたことが分かります。中世では、聖ヨハネ前夜祭に、黒魔術の魔よけとして盛んに用いられていたようです。また、北アメリカへの初期の移住者は、長い説教を聴くときに、このハーブの種子をもらって噛むのが習慣だったそうです。

料理にも欠かせない素材で、マリネ、サラダ、肉料理、魚料理の香味付けとして広く利用されているほかにも、ピクルスとしての用法も有名です。また、葉をホワイトリカーに漬け込んだハーブ酒も、そのまま飲んだり、カクテル、ドレッシングのソースなどとして、料理に幅広く使われます。

ローズマリー


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和名は「迷迭香」(マンネンロウ)と言います。日本へは、江戸時代末期に渡来したそうです。

ローズマリーは、常緑低木の薬用植物です。 地中海沿岸のイタリア、スペイン、ユーゴスラビア、ギリシャ、北アフリカなどに広く自生分布していましたが、今日では、イギリス、アメリカの他世界各地に伝えられ広まっています。

ローズマリーの名前の由来は、聖母マリアのバラという意味とも、マリアの涙、とも言われています。属名は、“海のしずく”という意味のラテン語です。このハーブは、“若返りのハーブ”として知られていて、14世紀に、リウマチに悩む72歳のエリザベート王妃がこのハーブで見事に若返り、隣国のポーランド国王から求婚されたというエピソードが残っているくらいです。この処方は、“ハンガリー水”と呼ばれて現在にも伝わっています。

また、“魔よけのハーブ”とも呼ばれていて、昔のヨーロッパでは、多くの家で、魔よけにローズマリーの木を一本、庭に植えていたことが知られています。現在でも、ベランダや、窓、玄関など出入り口に置くと厄除けになるといわれています。記憶力や、集中力を高めてくれるハーブでもあるので、古代ローマやギリシャの学生は、勉強に専念するときには、ローズマリーの花輪をかぶったとされています。“記憶”や“思い出”の象徴とされ、シェイクスピアの作品の中にも度々登場しています。聖なる“記憶”の薬草として崇拝されるローズマリーは、床に撒いたり、花束として持ち歩き、欝な気分になると嗅いだりといった具合に中世の人々に愛されていました。

防腐、殺菌効果が強いローズマリーは、冷蔵庫がなかった時代から料理に用いて、食中毒防止用の香辛料として珍重されてきました。

ローズマリーは、7~10センチほどの長さに切り挿し木にして増やすことも出来ます。成長が早く、立性のものは、背丈ほどにもなるので生垣にもなります。生垣のほかにも、刈り込んで仕立てるトピアリーも、人気があります。肉料理、魚料理、クッキーなどのお菓子…と料理全般に幅広く利用できますし、料理以外でも、様々に利用できますので、育ててみるのもいいのではないでしょうか♪ また、ほふく性のものは、塀などから垂らして育ててみてもいいのでは…。ほとんど一年中、ブルー系や、白、ピンクの可憐な花をつけているので、家の周りの飾りとして、最適なのではないでしょうか?

ガーデンで育てたローズマリーの長く伸びた枝を、剪定を兼ねて刈り取り、その枝を利用して、香りのリースを作るのも素敵ですね☆