【第9回】とうもろこし

いよいよ今年も夏到来!! ってなわけで今回のPICK UPは夏を代表する野菜の一つ「とうもろこし」を特集していきたいと思います。とうもろこしといえばスイートコーンというイメージがありますが、スイートコーンといっても種類は多数…意外と知られていない名前のとうもろこしも多いと思いますよ。さらに食べるだけでなく様々な用途をもつとうもろこし、まさに捨てるところのない野菜なのです。

うんちく


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穀物の代名詞とも言えるトウモロコシですが、古くは紀元前5,000年頃よりメキシコ付近を中心とする地域で野生の近緑種から栽培植物化されたということです。ヨーロッパには大航海時代に伝わり、アフリカ大陸には16~17世紀にポルトガル人によって伝わったとされています。

トウモロコシは花が咲くと花粉が風媒され、受粉すると雌花の付け根が膨らんで可食が形成されます。イネ科の植物の中では珍しく、種子が熟すと穎(ほさき)の中から顔を出します。この部分がいわゆるトウモロコシなのです。

一般的に販売されているトウモロコシは主に「スイートコーン(甘味種)」と呼ばれる品種のものです。スイートコーンの中でも「味来」「恵味」「バイカラ」「ゴールドラッシュ」「サニーショコラ」「ピュアホワイト」など様々な種類があります。中でも特徴的な品種はバイカラとピュアホワイトです。バイカラは黄色と白の混合の種子で、ピュアホワイトは白一色の種子をもっています。

甘味種というだけあり糖度が非常に高いのも特徴です。種子の皮も柔らかく、ラップしてレンジで「チン」でも簡単に食すこともできます。もちろん茹でたり蒸したりして食べるのが王道ですが、例外としてバイカラは、種子の皮が他の品種に比べて丈夫なのが特徴で、「焼きトウモロコシ」にむいています。加工用の「ポップ種」という品種がありますが、その名の通り「ポップコーン」などに使用されます。

スイートコーンが主に食されている品種であることは説明いたしましたが、他にも家畜用の飼料や、デンプン(コーンスターチ)などで使われる「馬歯種」という品種や、工業用原料に使用される「硬粒種」という品種もあります。


担当者とコーンの図

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先ほどの説明のように、トウモロコシからは、効率よく純度の高いデンプンが得られるため、工業作物としても重要な位置を占めています。実から得られるデンプンは、製紙や糊などに使用される他、発酵させることによって、糖やエタノールなど、様々な化学物質へと転化されています。近年では環境問題が重視される中、生分解性プラスティックであるポリ乳酸や、バイオエタノールとして自動車燃料などの用途も広がりつつあります。まさに未来の地球を担う原料といっても過言ではない野菜なのです。

特集「第2公設秘書は見た! 部長弘太と皮付きヤングコーンの歩み…」


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今回は「コーン」の特集で、わたくしが担当させていただくのは「ヤングコーン」なのですが、普通のヤングコーンでは面白くなかろう! と、この時期の当社の人気品目である「皮付きヤングコーン」について、語ってみようと思います。

今現在は、残念ながら、産地の天候の加減で入荷が止まってしまい(画像も今となっては撮れませんでした…)、多くのお客様に「まだ入荷しないの?!」とのお声を頂き、ご迷惑をお掛けしてしまっている次第です。…が、ここまで人気に火がつき、引っ張りだこになるまでには、幾多の困難があったと言う事を、わたくしは弘太部長より聞かされております。

今を遡ること5年…とあるフレンチのムッシュから、「うちは産地から直接ヤングコーンを取り寄せているんだけど、君のとこは置いている?」と聞かれ、悔しくて「どうしてもおいてやる!」と思ったのが、そもそもの始まりだそうです。


弘太と申す者

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「悔しくて…」と言うところが、いかにも我らが部長! と、思わず微笑んでしまった、公設第2秘書でありました。

それから、我らが熱き部長弘太の奔走が始まったのであります。

いろいろな産地に掛け合ったものの、最初は「めんどくさいからやらないよ」と言われ続け、足蹴にされたそうです。と言うのも、トウモロコシの赤ちゃんである、ヤングコーンを収穫するには、とても手間がかかるからなのです。トウモロコシには使用できる農薬が、ヤングコーンを収穫するには使えない…のだそうです。その農薬を使用すれば、手間がかからず、収穫量も上がるのですが、それが使えない…。だから「めんどくさい」のだそうです。

「絶対に諦めない!」がモットーの(かどうかは知りませんが、わたくしから見ると、そう見えます)我らが部長は、決して諦めず、足を運び続けたそうです。その甲斐あってか根負けしたのかは定かではありませんが、「じゃあ、うちがやってやるよ!」と言う奇特な方が現れたそうです。きっと、この方も<弘太熱>にやられたのでしょう…。我らが部長弘太から、熱く、熱く語られると「出来るかもしれない…! よっしゃ~! やってやる!!」と、訳もなくやる気が沸いてくるのです。(ここだけの話ですが…わたくしの入社理由も、面接の際に<弘太熱>にやられたせいでした…。) 当社は、皆熱き魂の持ち主ばかりで、お客様、お取引先様も、そんな方ばかりのように見受けられます。…あ、失礼いたしました…つい、会社自慢をしてしまいました…。

え~…本題に戻しまして…こうして出荷してくださることになった、知多のある農家さん…いつもありがとうございます。

念願の皮付きヤングコーンは入荷するようになったものの、先はまだ長かった…

お客様からは、「こんなもの食えるのか?!と馬鹿にされたり、「皮をむくのがめんどくさい…とお客様に言われるから嫌だ」と言われたりもして、かなりへこんだ…かどうかは分かりませんが…、始めては見たものの、まったく売れない時期が続いたと聞いています。売れないからと言って、こちらが産地に頼み込んだ手前、商品を止める訳にもいかず、大量に残る不良在庫に、頭を抱える日々だった…と聞いています。この時期の部長弘太、ヤングコーンを抱きしめて寝、夢にまで見た…ということを、こっそりと聞かされました。

もちろん、いつも努力を怠らない人間なので、袋詰めや、梱包、選果、お客様へ営業活動など、ほとんど一人でこなしてきたそうです。泣く泣く? お客様にただで配ったり、委託で他市場に投げたり(商品を送り込むこと)して、膨大な量の不良在庫を吐きながら、少しづつお客様を開拓しつつ、産地との信頼関係を築きあげていきました。


第2公設秘書なる者

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当社が扱っているヤングコーンは、他産地に比べてかなり甘く、東京の市場の方からも「甘くておいしい♪」とのお声を頂いています。やはり、それが人気の秘密☆でしょう。そして、忘れてはならないのが、<弘太熱>…。5年の歳月をかけて、多くの皆様が、この熱に犯された、いえ、失礼いたしました…部長弘太の情熱のなせる業! でしょう。

そんなこんな、様々な歴史を持つ? 当社のヤングコーンの取り扱いは、5月下旬から6月一杯までとなっております。弘太部長から勧められて、薄皮数枚を残したままの状態で、ひげごと生で食べてみましたが、なるほど甘く、とてもおいしく頂きました。

この報告は、わたくしの独断で書かれたもので…?! 多少の脚色がなされている…かどうかは、ご想像にお任せいたします☆